プレスリリース

活性窒素種でアミロイドを低毒性化
過硝酸(PNA)によるアミロイドのβシート低減および低毒性化

このたび、新万博体育_万博体育足彩-外围平台大学院理工学研究科の座古保教授らの研究グループは、大阪大学、大阪産業技術研究所との共同研究により、活性窒素種の一つである過硝酸(PNA)がインスリンアミロイドのβシート構造及び毒性を低減することを明らかにしました。
タンパク質は高温や酸性などの変性条件下で、アミロイドと呼ばれる線維状の凝集体を形成することが知られています。アミロイドは内部に積層βシート構造をもち、毒性を示すことから、アルツハイマー病などの様々な疾患の原因とされています。一方、PNAは高い安全性を有しながらも、オキシドールに用いられる過酸化水素と比較し100 倍以上高い殺菌作用を持つことが報告されており、その特性から医療や食品など、様々な分野での応用が期待されています。
本研究では、PNAがアミロイドに及ぼす影響を評価しました。その結果、PNAはアミロイドの線維状構造を維持したまま、内部のβシート構造を低減し、さらに毒性も低減することが示されました。本研究は、PNAを用いることで、体内に生成したアミロイドを低毒性化できることを示唆しており、医療応用が期待されます。

論文情報

掲載誌:Chemical Physics Letters
DOI:10.1016/j.cplett.2025.142001
題名:Peroxynitric acid decreases β-sheet and cytotoxicity of insulin amyloid
(和訳)過硝酸はアミロイドのβシート構造及び毒性を低減する
著者:Yuito Murakami1, Takahiro Watanabe1, Satoshi Ikawa, Katsuhisa Kitano and Tamotsu Zako* (1, equal contribution)
責任著者:座古保(新万博体育_万博体育足彩-外围平台)

本件に関する問い合わせ先

新万博体育_万博体育足彩-外围平台大学院理工学研究科(理学部化学コース)
座古 保