プレスリリース

アトピー性皮膚炎が慢性化にいたるメカニズムを発見
T細胞を標的とした治療法開発に期待

新万博体育_万博体育足彩-外围平台大学院医学系研究科の山下政克教授らの研究グループは、同大学院医学系研究科の今村健志教授、東京慈恵医科大学の岡部正隆教授との共同研究により、T細胞の機能を正常に保つ働きをもつタンパク質「Bach2(バック2)」が、アトピー性皮膚炎の炎症の終息に重要な役割を担うことを明らかにしました。これまで山下教授らの研究グループは、リンパ球の一種であるT細胞の性質や状態によってBach2の含有量が変動すること、T細胞が含有するBach2の低レベル状態が持続すると、それだけでぜんそくに類似した肺のアレルギー症状が出ることを解明してきました。一方で、Bach2のアトピー性皮膚炎病態での役割は明らかになっていませんでした。
今回の研究では、低レベルのBach2を含有するT細胞が患部に集積することでアトピー性皮膚における炎症が長引く(慢性化する)こと、慢性化した炎症が皮膚のバリア機能や構造をよりぜい弱化させることが示されました。この研究結果は、T細胞におけるBach2の含有量を適切に管理?調節することで、アトピー性皮膚炎の慢性化を抑えられる可能性を示しており、Bach2レベルに着目した新たな治療法開発への可能性が期待されます。本研究成果は、世界的に権威のある米国学術誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」のオンライン版で発表されました。

論文情報

掲載誌:Journal of Allergy and Clinical Immunology
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jaci.2025.01.036
題名:Loss of Bach2 in T cells causes prolonged allergic inflammation through accumulation of effector T cells and disruption of epidermal barrier
(和訳)T細胞におけるBach2欠損は、エフェクターT細胞の集積と表皮バリアの破壊を伴うアレルギー性炎症の遷延をもたらす

本件に関する問い合わせ先

新万博体育_万博体育足彩-外围平台大学院 医学系研究科 
免疫学?感染防御学講座 
教授 山下 政克